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連載記事「なぜ学び、何を学び、どう学ぶのか」
何を学べば自分、そして社会の役に立つのか。学問とは何か、そんな疑問を抱えている学生、社会人の皆様に向けて書いた連載記事です。学生であれば、勉強方法がより洗練され、自分が学ぶ専門分野の社会における位置づけもより良く理解することができ、専門の勉強に没頭する自信を生み出すことができるのではないかと思います。社会人であれば、自分に何が欠けているのか、何を学べばより良い仕事ができるのかを見直す材料にもなるだろうと思います。
この連載記事の中では、勉強や仕事で必要となる考え方、つまり、合理的、論理的、科学的に考える方法を具体的に解説していますので、読み進めるほどに考える力が身に付き、勉強や仕事の能力も向上するはずです。読み始めて暫く後に、物事を隙なく、明確に、効果的に、正しく考える方法論が自分に身に付き始めたことを実感できる日が来ると思います。
まず、手始めに誰もが学んできたはずの国語と数学という学問の最も基礎的な科目について解説した次のページ「国語と数学を学ぶ必要性と勉強方法」を読み、自分がこれまで国語や数学に対して取り組んできた際の方法や捉え方と比較してみてください。そして、これは有用だと感じた場合には、以下の連載記事への導入へとお進みください。
現在、更新を継続している最中ですが、内容は「道徳と宗教」について、「現代社会の文化と文明」について、「学問と論理」について、「国語と数学と英語」について、「対象と関係、関係論理」について、「なぜ、何を、どう学ぶ」と良いのかを解説しています。
開始一ページ目は、こちら序文になります。
全体を俯瞰するには、こちら目次をご覧ください。
すべて目を通して頂ければ有難いのは山々ですが、きっと、なかなかそのような時間はないと思いますので、以下に、各人の状況に合わせて読んで頂けるように、重要個所への参照を設けておこうと思います。興味を持った個所から読み始めて頂ければ幸いです。
■ まずはここから ⇒ 学問の基礎
■ じっくり学びたい方はここから
■ 学問・研究に興味のある方はここを
併せてこちら「リベラルアーツを学ぶための勉強法」も参考にしてみてください。
まずはここから ⇒ 学問の基礎
開始ページ:
学問と論理8(ギリシャの合理主義)-なぜ・なにを・どう学ぶのか-
【説明】
上記のページでは、現代の学問の基礎となっている合理主義の系譜をソクラテスの無知の知から始まり、アリストテレスの論理学、ユークリッドの原論、デカルトの批判精神、ヒルベルトの公理主義という流れで解説しています。ここから数ページが連載記事「なぜ・なにを・どう学ぶのか」の学問的には最も重要な個所です。このような知識に中学生の間に触れ、高校生でぼんやりと理解し、大学1・2年生で大体を理解できれば、その方はその後の専門課程や仕事において、それなりの業績を残せる人物になるだろうと思います。
もちろん、いつから学んだとしても有用なことに変わりはありません。実際、私がその内容に触れたのも社会人になってからです。なぜ、教育機関で早い段階にじっくりと学べなかったのだろうかと悲しい気持ちになりました。だからこそ、このホームページで紹介しています。言い換えれば、諸々の理由から学校ではあまり積極的には教えてもらえないことばかりと言えるだろうと思います。
上記の中からすぐに勉強法として生かせる内容を以下に抜粋しました。物は試しと言いますので、このような考え方を実際にご自身の勉強に使ってみてください。巷にあふれる参考書やハウツー本の方法論よりも優れ、しかも、ほとんどが以下の写し直しや派生なんだなと実感するだろうと思います。
① 合理主義
真実又は真理を探究して、謙虚に問い、誠実に確認すること。
② ソクラテスの問答法、無知の知
A.問答法
主張の根拠や意味を問い、答えること。あるいは、推論によって矛盾を見い出すこと。その過程によって、より正しい真理を探求する方法。
B.無知の知
問答法によって、誰も真理を知ってはいないことを知ること。あるいは、問答法によっては真理を知りえないことを知ること。
③ デカルトの考察方法
第一に、自分が本当に正しいと納得できることのみ受け入れること。言い換えれば、注意深く即断と偏見を避け、疑いの余地のないほど明確なもの以外は自分の判断に含めないこと。
第二に、検討する問題の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。
第三に、自分の考えを順序にしたがって導いていく。順序とは、もっとも単純で認識しやすいものから始めて、階段を一つ一つ上るようにして、もっとも複雑で認識しずらいものに上っていくこと。普通では互いに前後の順序がつかないものの間にも順序を想定して考えを進めること。
そして最後は、すべての場合において、完全な枚挙と全体にわたる見直しをして、何も見落とさなかったと確信すること。
「方法序説」デカルト,谷川多佳子[訳],岩波書店,1997年7月16日より引用、少し修正。
じっくり学びたい方はここから
開始ページ:
学問と論理1(法律の必要性1) -なぜ・なにを・どう学ぶのか-
【説明】
上記のページでは、学問とは、合理主義とは、論理とは何か。科学とは、法律とは何かを解説しています。「合理的に」「論理的に」「科学的に」という言葉をよく耳にしますが、現代社会において、合理主義、論理、科学は物事の価値判断を正当化するための最大の基準となっています。では、それらの意味をどれほど理解しているでしょうか。その理解が多くの生活上の場面で、説得力のある発言や判断、つまり、人の社会的な能力の優劣を少なからず左右している側面があります。
夏目漱石は『我輩は猫である』で苦沙弥先生に、「大学で論理学も習ってこなかったのか」などという不遜な文句を吐かせています。そもそも、過去に論理学は大学の必修科目でしたが、現代の日本において大学で論理について学んだ記憶がある社会人はどれだけいるでしょうか。日本のみならず、おそらく世界共通のことと思いますが、現代の大学の教養過程において論理学を必修科目としている大学はほとんどないのだろうと思います。それは、おそらく、アリストテレスの論理学が煩雑であること、デカルト以降の学者が単純な推論で足りることを指摘したこと、科学教育で事足りると思われていること、関連する多様な分野と見解が存在すること、数学基礎論が一般に未消化であること、などが理由にあると思います。つまり、論理学という分野が、それ自体への批判も内包しつつ多様化してしまったからと言えるかもしれません。それでも、論理学の基礎となる哲学的な知識は、いまでも輝きを失わず、むしろ現代社会、学問の基盤となっています。
そのため、西洋では伝統的に教養科目として文章の書き方とその基礎となる論理学の基本知識をセットで教える習慣があり、現在でも基本的にそれは変わりません。それに対して、日本においてはさらなる特殊事情により、論理学の基本知識すら大学の教養科目で教えられることが少なくなっています。というのは、日本では伝統的に教養としての正式な文章の書き方といえば漢文であったので、おそらく明治時代の教養科目の成立過程において論理学的な知識を基礎とした文章の書き方という概念が上手く導入できなかったのだと思います。結果として、大学教育としての教養という概念自体も曖昧になり、文章の書き方を体系的に教えること自体が少なくなってしまい、現在でも教養科目から文章の書き方と論理学の基本知識がセットで抜け落ちるか軽んじられる傾向が続いてしまっているのではないかと思います。
このように考えると、この一連の記事は日本的な大学教育の問題を補完できる役割もあるかと思います。あるいは、海外の大学教養課程を卒業した方でも、「ああ、そういうことだったのか」と知識を深められるのではないかと思います。そのために記事中では、学問、合理主義、論理、科学、法律の基礎的かつ重要な事柄について、この記事を読めば理解できるように解説に努めました。ただし、現在は学問と合理主義についてまでの解説を補充しましたが、論理以降の章については正直、下書きの段階で、今後、さらに加筆・修正を行いたいと思っています。ただ、現代の欧米の大学教養課程で、論理学が必修科目ではなくなり、論理学の基礎的かつ重要な知識のみを教えることが多くなっていることからも分かる通り、学問と合理主義についてまでの解説こそが、論理学の基礎となる内容であり、その後の些末な論理学的な知識よりも重要かつ有用であると言えるのだろうと思います。
この章は連載記事「なぜ・なにを・どう学ぶのか」の中心となります。現代社会の基盤となっている知識について、きっと理解を深めることができるのではないかと思います。
学問・研究に興味のある方はここを
該当ページ:
対象と関係、関係論理 -なぜ・なにを・どう学ぶのか-
対象と関係について、より詳細に
【説明】
上記のページで紹介する物事を対象と関係に分けて考察する分析手法は、様々な関連分野に影響のある形式主義、構造主義という系譜のおおむね真ん中にある考察方法として一般的なものと言えるだろうと思います。ただ、私なりに少しばかり考えを深められた部分もあるのではないかと思っています。とくに、なぜこの考察方法が普遍的であるのかを示すところは、この考察方法を、考察方法以上のものとして高められたのではないかとも感じつつ、このページの内容の中心となっています。その帰結として、あるいは例題として、命題は関係によって成立していることを示しています。
この記事は、連載記事「なぜ学び、何を学び、どう学ぶのか」の最終章にあてられたページです。この考察方法の解説を書くこと、そして順番に歴史を追って学んで頂くことで、その優れた側面を多くの人に理解して頂けるようにすること、これが連載記事「なぜ学び、なにを学び、どう学ぶのか」を書こうと思い立った、一番初めにあった動機です。
本文では、身近な例で解説を試みようとして、逆に理解しにくくなってしまったきらいがありますので、今後、その他の例や概念の精密化、関連する分野の紹介を加えて行こうかとも思っています。一方で、もう十分という気もしています。
以下に、学問や研究にすぐに生かせるように簡略に内容をまとめ直しました。ご指摘、ご批判、好き嫌いはあると思いますが、やはり、物は試しと言いますので、このような考え方を実際にご自身の勉強に使ってみてください。
対象と関係に分ける考察方法
物事を考える際に、何を考えているのかを明確に対象化し、その対象間の関係として物事を捉える。つまり、対象間の関係が構成する形式的な構造として物事を捉える。
指摘1 対象を明確化するとは、すべての関係する対象との関係を一意的な形式で表現することで、対象はその関係によってのみ規定され、それ以外の内容を含まないようにする。つまり、対象として必要なものは、対象を識別する名前のみになる。
指摘2 したがって、対象は、それと関係する対象によって相対的であり、独立した内容も持たなくなる。
指摘3 対象は、関係を対象とすることもできるし、複数の対象や関係を対象とすることもできる。
指摘4 対象を〇で表現し、関係を⇒で表現すれば、どんな物事でも図示することができる。
指摘5 問答法をこの考察方法で明確化することができる。無知の知とは、関係する対象が無限にあることと同値である。
指摘6 デカルトの考察方法の第一は、対象の関係による形式化と同値である。第二は、対象と関係するすべての対象を必要十分に明確化することと同値である。第三は、対象と関係する対象を遡って基本的な対象を見出し、推論や構成の順序を整えて進むことと同値である。加えて、繰り返し現れる対象を括りだせば、それが基本的な要素、原理と言える。第四は、対象と関係するすべての対象の枚挙と全体の見直し、見落とした対象のないことを確信することと同値である。
例1.小説に現れる人物を対象として、人物間の関係を考える。
例2.命題を対象として、命題間の推論を関係と捉える。
例3.記号としての言葉を対象とし、加えて、言葉の指し示すものや意味、概念を対象として、それらの関係を考える。
例4.言葉を記号とそれに伴う意味とに別々に対象化すれば、言葉は記号としての言葉とそれを捉える人の経験や概念との関係や言葉相互の関係によって成立していることが分かり、言葉によって成立している命題もそれらの対象間の関係として捉えられることが分かる。
例5.数学の公理は、2個以上の対象と形式化された関係によって規定されている。
例6.数学の集合は、1個の対象がそれ以外の対象との関係によって規定されている。
例7.対象が等しいとは、少なくとも二つ以上の対象を比較しているのであり、厳密には二つの対象として区別できるその他の対象との異なる関係が前提となる。したがって、対象が等しいとは、その他のすべての対象との関係が等しいのではなく、その他のある一部の対象との関係が等しい(厳密にはその等しさもまた同様の議論が必要となるが)のだといえる。つまり、等しさには、それを比較するための基準(その他のある一部の対象)が必要である。
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- 道徳と宗教2(道徳、宗教の教育) -なぜ・なにを・どう学ぶのか-
- 道徳と宗教1(道徳を学ぶ必要性) -なぜ・なにを・どう学ぶのか-
- 目次 -なぜ・なにを・どう学ぶのか-
- 序文2 -なぜ・なにを・どう学ぶのか-
- なぜ学び、なにを学び、どう学ぶのか(序文1)
- リベラルアーツを学ぶための勉強法
- 最近の国政について
- 新聞業界の衰退を止めるには、失われた20年を取り戻すには。
- 国語と数学を学ぶ必要性と勉強方法
- 英語を学ぶ必要性と勉強方法
記事
- 真理探求法について
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- 等しさと同値関係についての一考察
- In the case of power residue being one, the relation between its index and modulus by an order of its base
- 対象と関係について、より詳細に
- デデキント切断(有理数の切断)の定義とその同値性についての証明
- 高校数学で論理を学びにくい理由
- フリーのエディタ、サイト多言語化
- 数学の証明の記述法について
- 交換子群について
- 論理と矛盾、対偶の証明
- パスカルの三角形の和公式、組合せと格子点
- 組合せと格子点の多項定理への拡張
- 組合せとべき乗の関係式と計算法
- 直角三角錐の4面の関係式 ー ピタゴラスの定理の拡張
- フェルマーの小定理の証明
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